研究と報告
睡眠覚醒障害を主訴とした外来患者の臨床的研究
著者:
山寺亘1
佐々木三男1
伊藤洋1
小曽根基裕1
佐野英孝1
松永直樹1
高橋敏治1
田村信1
牛島定信1
所属機関:
1東京慈恵会医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.363 - P.370
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【抄録】最近3年間の外来初診時に,睡眠覚醒障害と診断された402症例を対象として実態調査を行った。(1)マスコミ報道を見て受診したものが約半数を占め,主訴は起床困難が多かった。(2)脱落例を除外し,治療が継続した318例について睡眠障害者国際分類(ICSD)に準拠して分類した結果,精神生理性不眠症・睡眠時無呼吸症候群を含む内在因性睡眠障害は127例(39.9%)に認められ,睡眠相後退症候群など概日リズム睡眠障害と確定診断された症例が78例(24.5%)に達した。(3)概日リズム睡眠障害の治療には,睡眠導入剤を投与した症例は他の睡眠障害に比較して少なく,ビタミンB12の投与や高照度光療法が主体であった。
この睡眠覚醒障害における概日リズム睡眠障害の占める割合は,過去に比較して突出して高い値であり,当院睡眠障害専門外来の特徴であるとともに,現代という時代的背景に影響された結果であろうと推察された。