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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻4号

1996年04月発行

研究と報告

ロールシャッハテストからみた高齢者の人格特徴—沖縄県の1離島における健康調査から

著者: 池田敏郎1 吉良安之2 仲本晴男1

所属機関: 1琉球大学医学部精神神経科学講座 2九州大学健康科学センター

ページ範囲:P.379 - P.385

文献概要

 【抄録】高齢者への精神保健活動を適切に行うためには,その人格特徴の理解が重要となる。本研究はロールシャッハテストを用いて,沖縄県の1離島の神経症圏の老人10名と健常老人15名を対象に,離島の高齢者の人格特徴と,神経症群と健常群の相違について検討を行った。結果は,神経症群に現実検討能力が低いことが若干認められたが,大きな相違は認められなかった。両群に共通した人格特徴は,強迫的で感情表現が乏しく現実的な点であった。これは他の研究に比べて,現実検討能力は高いが,内的活動レベルは低いことが明確になった。3年後に追跡調査を行ったが,大きな変化は認められなかった。これらのことから,この人格特徴は精神的老化が早いというよりは,風土や文化の影響が強いと考えられた。また両群ともに老人の危機的状況に陥りやすいことが予想されたため,心理的孤立化を防止する地域援助システムが重要であると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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