研究と報告
脳波異常を伴う恐慌性障害
著者:
宮内利郎1
遠藤青磁1
梶原智1
萩元浩1
所属機関:
1横浜市立大学医学部附属浦舟病院精神医学教室
ページ範囲:P.387 - P.392
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【抄録】恐慌性障害患者のうちてんかんを合併するⅠ群(4例),突発性脳波異常を持つⅡ群(6例),脳波異常を認めないⅢ群(8例)について検討した。Ⅰ群では神経症性格を示し,4例中3例にてんかん発作抑制後に恐慌発作,1例に恐慌発作軽快後にてんかん発作を認め,恐慌発作はてんかんの発作間欠期精神症状の1つである不安状態と考えた。またⅠ群では4例中3例が側頭葉てんかんを合併,Ⅱ群では6例中3例が側頭葉棘波を示し,抗てんかん薬が奏効した。Ⅲ群の未治療時脳波解析では,恐慌性障害においてα帯のパワーが少なく,中側頭部,後側頭部で左右差を示した。この結果は,恐慌性障害と側頭葉の機能異常,側頭葉てんかんとの関連性を示唆するが,Ⅰ群では1例が全般てんかんであったこと,Ⅱ群では6例中3例が側頭葉棘波を示さなかったことなど今後さらに恐慌発作時の脳波,脳磁図,magnetic resonance spectroscopyなどによる検討が必要と考える。