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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻5号

1996年05月発行

文献概要

特集 精神病理学の方法論—記述か計量か

ライフイベント研究における葬式躁病の意義

著者: 坂元薫1

所属機関: 1東京女子医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.467 - P.475

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■はじめに
 近年,精神医学の領域でも計量的手法を用いた研究が主流となってきていることは,いわゆるインパクト・ファクターの高い国際的学術誌において,こうした手法を用いない記述的症例研究を見いだすことが困難なことからも明らかである。このような状況下で,今日でも記述的な症例研究の意義が果たしてあるのか,あるとすればその意義をいかに見いだすべきかについて具体的に検討することが本稿の目的である。その具体例として,従前より諸家によりしばしば言及されてきた死別と躁病の関連性をめぐる問題を取り上げたいと思う。というのも,その問題の背景にある躁うつ病や精神分裂病などの精神疾患の発症要因を明らかにしようとする研究に関して,ドイツ語圏や我が国の精神医学と英語圏の精神医学の接近の仕方の相違を展望することが,「記述か計量か」の対比をめぐる論考の理解の一助となると思われるからである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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