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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻5号

1996年05月発行

文献概要

研究と報告

左海馬傍回に限局した脳梗塞により漢字に選択的な失読失書を呈した1例

著者: 下村辰雄12

所属機関: 1岩手県立中央病院神経内科 2兵庫県立高齢者脳機能研究センター臨床研究科

ページ範囲:P.519 - P.524

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 【抄録】左海馬傍回にほぼ限局した脳梗塞により漢字に選択的な失読失書を呈した1例(62歳,男性,右利き)を報告した。発症当初より漢字に選択的な失読失書を認め,発症4か月目には漢字の失読は軽快し,漢字の失書のみとなった。本例では漢字の修得学年が高いほど,画数が多いほど,熟知性が低いほど漢字の失書は重度であった。書き誤りのほとんどが無反応であったが,写字およびヘンやツクリによる漢字構成は可能であったことから,漢字の失書の発現機序として漢字形態の想起障害が示唆された。MRIでは左海馬傍回にほぼ限局した病変を認め,従来の漢字の失読失書例の病変とは異なっていた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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