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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻6号

1996年06月発行

研究と報告

摂食障害患者の人格障害について

著者: 松永寿人1 切池信夫1 永田利彦1 西浦竹彦1 宮田啓1 飛谷渉1 山上栄1

所属機関: 1大阪市立大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.587 - P.595

文献概要

 【抄録】anorexia nervosa(AN)患者8例,bulimia nervosaの診断基準を併せて満たしていたanorexia nervosa(AN+BN)患者8例,bulimia nervosa患者(BN)9例に,SCID-Ⅱ邦訳版およびPDQ-R邦訳版を施行した。その結果,14例(56.0%)が,いずれかの人格障害の診断基準を満たしていた。その内容は,境界性および強迫性人格障害が最も高頻度で,それぞれ5例(20.0%)ずつが診断され,次いで自己愛性,回避性,依存性人格障害などが4例(16.0%)であった。cluster Bの人格障害については,AN+BN,BN群において高頻度に認め,これらの患者は過食や嘔吐,自殺企図を高頻度に認めた。PDQ-R邦訳版による人格障害の評価では,SCID-Ⅱでの人格障害診断との比較で,kappa(κ)係数やspecificityは十分の値は得られなかったものの,sensitivityは平均0.95となり,診断を目的とした面接基準の代用にはならないが,人格障害のスクリーニングテストとしての有用性が示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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