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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻6号

1996年06月発行

文献概要

研究と報告

Flashback現象に続いて全生活史健忘の出現をみた覚醒剤中毒の1例

著者: 松岡孝裕1 横山富士男1 山内俊雄1

所属機関: 1埼玉医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.619 - P.625

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 【抄録】Flashback現象が全生活史健忘の出現に重要な役割を演じていたとみられる,覚醒剤中毒の精神鑑定例を報告した。症例は19歳の男性。15歳時より3年間覚醒剤を使用し,常用時には強い緊迫感とともに幻聴が出現していたが,中止後も飲酒した際に同様の異常体験が出現していた。今回,逮捕拘留中に深刻なストレスが加わり,覚醒剤常用時と同様の異常体験が再び出現したが,その後茫乎とした様子となり全生活史健忘が発症した。健忘は20日間で回復した。
 今回出現した異常体験は,過去の体験との類似性などからflashback現象によるものと考えられたが,これにより状況の認識が妄想的にゆがめられて,緊迫した恐怖体験が形成され,ヒステリー機制が発動し,全生活史健忘が発症したものと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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