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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻6号

1996年06月発行

短報

Primary progressive aphasiaの1臨床例

著者: 日野博昭1 中野光子1 井関栄三1 小阪憲司1

所属機関: 1横浜市立大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.639 - P.641

文献概要

 初老期または老年期の変性性痴呆疾患であるAlzheimer病やPick病の経過中に失語を認めることは珍しくはないが,近年,失語症で発症し,緩徐進行性の経過をたどり,長期にわたり痴呆を呈さない症例が注目されている。Mesulam7)はこのような6症例をまとめて報告し,いずれも画像上左シルビウス裂周囲に限局性萎縮を有しており,slowly progressive aphasia without generalized dementia(後にprimary progressive aphasia8);PPA)の概念を提唱した。
 その後,同様な症例が多数報告されるようになったが,長期経過中に痴呆化する例が多く,また剖検後の病理診断ではPick病やAlzheimer病などの変性性痴呆疾患であることが多いことから,現時点ではPPAは変性性痴呆疾患の1つの経過を示すものとの考え方が優勢となっている。今回我々は病初期より失語を呈したが,約5年間経過した現在も明らかな痴呆を認めない臨床例を経験したので,その症例を呈示し,若干の考察を加える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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