文献詳細
文献概要
短報
断眠療法によりパニック発作が誘発されたうつ病の2症例
著者: 山田尚登1 中島聡1
所属機関: 1滋賀医科大学精神医学講座
ページ範囲:P.750 - P.752
文献購入ページに移動 不安障害の1つであるパニック(恐慌性)障害は,強い恐怖または不快感に,動悸,発汗,身震い,息苦しさ,胸部や腹部の不快感,めまい,感覚麻痺などの身体症状を伴うパニック発作が突然に生じ,それが反復して慢性に経過する精神障害である1)。パニック障害において,乳酸26),カフェイン4),イソプロテレノール12),二酸化炭素の吸入5),ヨヒンビン3),クロニジン10)などの薬理学的あるいは生理学的物質によるパニック発作の誘発研究からこれまでに病因や病態生理に関する様々な生物学的仮説が提唱されているが,パニック発作の病因は未だ明らかになっていない。
断眠は,うつ病の症状を劇的に改善することが知られている。我々はうつ病患者に断眠療法を施行しているが11),今回パニック発作の既往のない患者で断眠の後にパニック発作を発現した患者を2名経験した。これまで,パニック発作の病因あるいは病態生理において不眠はほとんど注目されていない。今回,不眠がパニック発作誘発の重要な外的因子になる可能性に関して検討を加えたので報告する。
断眠は,うつ病の症状を劇的に改善することが知られている。我々はうつ病患者に断眠療法を施行しているが11),今回パニック発作の既往のない患者で断眠の後にパニック発作を発現した患者を2名経験した。これまで,パニック発作の病因あるいは病態生理において不眠はほとんど注目されていない。今回,不眠がパニック発作誘発の重要な外的因子になる可能性に関して検討を加えたので報告する。
掲載誌情報