短報
多変量解析による絶望感簡易評価尺度の作成
著者:
小野泉1
村井俊彦2
安田究3
中村道彦3
中鳴照夫3
所属機関:
1大池病院
2宇治黄檗病院
3京都府立医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.757 - P.759
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患者の自殺危険性を適切に評価することは,精神医療における重要な責務の1つである。自殺の危険性評価において定式化された評価尺度を日常診療に利用できるならば,より多くの臨床家が自殺予防に目を向けることが可能になるであろう。しかし我が国の従来の研究では自殺危険因子を指摘するにとどまり,危険性評価尺度の信頼性と妥当性に関する検討には至っていない。我々は,自殺既遂および企図の危険因子に関する先行研究の概観4)に基づいて作成した,自己破壊危険性一覧表Schedule of Self-Destructive Risks(SOS-DR)の中からBeck Hopelessness Scale2,3)に相関する項目を抽出することで,絶望感の背景をなす自殺危険因子を同定し,精神科患者全般における自殺危険性評価尺度(SOS-18)を作成した5)。SOS-18は良好な信頼性と同時的妥当性を示したが,項目数が多いためにスクリーニングテストとしての便宜に欠けると考えられた。そこで,SOS-18を基にしてさらに簡便な自殺危険性評価尺度の作成を試みたので報告する。