icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻7号

1996年07月発行

資料

DSM-Ⅲ-Rによる外来統計—6年間の統計による各疾患の頻度,性差および受診時年齢

著者: 山田尚登1 中島聡1

所属機関: 1滋賀医科大学精神医学講座

ページ範囲:P.767 - P.775

文献概要

■はじめに
 精神医学における診断の重要性に関しては,今更述べるまでもない。現在,国際的に広く用いられている診断分類としてDSM-Ⅲ-R1)とICD-1016)が挙げられる。これら国際分類は,一般診療で用いることにより異なった施設での臨床研究の結果を比較検討することを可能にしたばかりか,世界各国で翻訳されており諸外国との間で疾患別頻度や各疾患における性比などの統計結果の比較を可能にした。さらに,明確な診断基準を持つことから,精神医学の臨床研究のみならず基礎研究においても議論のための共通の基盤を提供した。しかしながら,これら操作的国際診断分類を用いた統計に関する報告は諸外国ではいくつかあるが,本邦では従来診断によるものがほとんどで,これまでにDSM-Ⅲを用いた高橋の報告12)とICD-10を用いた大久保ら9)の報告があるのみである。さらに,多数例の患者にDSM-Ⅲ-Rを用いた統計の報告は非常に少ない。したがって,DSM-Ⅲ-Rに示されているような関連病像,発症年齢,経過,素因,有病率,性比,家族負因,鑑別診断などの統計情報1)に関しても,本邦で論ずるには非常に困難な状態である。
 今回我々は,多数例の外来新患症例にDSM-Ⅲ-Rを施行し,(1)外来に訪れた新患患者の疾病分類の頻度,(2)各下位分類の性比,および,(3)各カテゴリーの受診時年齢に関して検討を行った。これらの統計データは外来患者のもので必ずしも真の患者数を反映するものではないが,精神科外来における患者頻度や性差に関する情報を与え,DSM-Ⅲ-Rに示されているような様々な統計資料を本邦において作成する上で有用な資料になると考え,報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら