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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻8号

1996年08月発行

展望

覚醒剤による遅発性精神病—疾患概念と成因研究の現状

著者: 佐藤光源1 伊藤千裕1 豊田洋1 布施裕二1

所属機関: 1東北大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.796 - P.805

文献概要

■はじめに
 1984年にピークに達した第二次覚醒剤乱用期はその後も続き,1994年度には再び増加に転じている。依存性薬物情報研究班の資料によると,再乱用者と常用者の占める割合がここ数年増え続け,医療機関を受診した薬物関連の精神障害も覚醒剤関連の障害が最も多い。なかでも,受診前1年間に乱用歴を持たない慢性覚醒剤精神病者や後遺症患者が増えているのが注目される。覚醒剤の長期常用者,頻繁な再発と後遺症に苦しむ患者が増加している現状は,我が国の精神保健,医療,福祉を考える上で多くの問題をはらんでいる。しかし今回は,DSM-IV多軸診断の第1軸の疾患部分だけに焦点を当て,覚醒剤依存とその関連精神障害の成因に関する主な研究成果を紹介する。覚醒剤以外の依存性物質(有機溶剤など)の乱用と二次脳障害については,別の成書35)を参照されたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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