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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻8号

1996年08月発行

研究と報告

てんかん精神病の1例における辺縁系発作後血清prolactin濃度の推移—病態生理としてのlimbic permeability

著者: 原純夫1 横山尚洋2 武井茂樹1 原常勝3

所属機関: 1慶應義塾大学医学部精神神経科学教室 2都立大塚病院 3駒木野病院

ページ範囲:P.829 - P.834

文献概要

 【抄録】てんかん精神病の1例において,辺縁系発作後の血清prolactin(PRL)濃度を測定し,間接的に脳内の発作発射拡延の様子を検討した。症例はてんかん発症から19年目より被害関係妄想を中心とする慢性の精神病状態を呈している現在39歳の男性の側頭葉てんかん患者である。その常習発作は,複雑部分発作,精神発作で,複雑部分発作については2回,精神発作については計3回について発作後血清PRL濃度を経時的に測定した。その結果,基準値10.0±4.0ng/mlに対して,発作15分後に得られた最高値は複雑部分発作の場合は94,95ng/ml,精神発作については84,43,28ng/mlであり,これらの上昇は過去の報告と比較して程度が高いと考えられた。そしてこれは側頭葉内側構造での発作発射の強度と拡がりやすさ(limbic permeability)を反映しているものと考え,これをBearの提唱した感覚-辺縁系過剰結合理論と併せて,てんかん精神病の病態生理基盤の一部をなしうるものと推定した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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