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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻8号

1996年08月発行

研究と報告

密着した母娘関係が大きく寛解に寄与した分裂病の2症例

著者: 和田千里1 後藤田敏彦1 宮越雅子1 岡五百理1 安岡誉2

所属機関: 1啓生会病院 2札幌佐藤病院

ページ範囲:P.857 - P.863

文献概要

 【抄録】精神分裂病の治療経過中に,母子密着関係,すなわち,母親が患者(娘)に親身にケアをする接近態度によって生じた関係により,患者の病状の軽快と精神の安定化が得られた2症例について報告した。その中で,「過度に情緒的にまとわりつく」形をとらず,また,拒絶や敵意を含む支配といった否定的なニュアンスはないような条件のもとで,憩者の代理自我として,あるいは自我支持的に機能するような母親の親密な接近は,患者の隠された依存欲求を満たし,接近コンプレックスを軽減させ,患者の病状の軽快,精神の安定化,すなわち分裂病の寛解過程に一定寄与する可能性があることを示唆した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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