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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻9号

1996年09月発行

文献概要

研究と報告

純粋健忘症状群の1症例における逆向健忘の検討

著者: 平林一1 稲木康一郎1 平林順子2 市川英彦3

所属機関: 1リハビリテーションセンター鹿教湯病院臨床心理科 2リハビリテーションセンター鹿教湯病院言語療法科 3リハビリテーションセンター鹿教湯病院内科

ページ範囲:P.949 - P.956

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 【抄録】解離性椎骨動脈瘤破裂によるクモ膜下出血後に,純粋健忘症状群を呈した1例を報告した。本症例の逆向健忘を検討した結果,以下の点を確認した。すなわち,(1)追想障害に明瞭な時間的勾配が存在する。(2)逆向健忘期間については,その時間経過の感覚も失われる,(3)逆向健忘期間中,同時に獲得したと考えられる意味記憶とエピソード記憶の比較が可能で,後者で障害が著しい。本例の示した病像より,健忘症患者の少なくとも一部の例では,過去の同じ時点で獲得した意味記憶とエピソード記憶であっても,それが分離した形で障害される場合があることを指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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