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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻9号

1996年09月発行

研究と報告

クロナゼパム投与時に遷延性うつ病相からの躁転がみられた双極感情障害の1例

著者: 稲月原1 鈴木邦人1 茂野良一1 稲月まどか1 伊藤陽1

所属機関: 1新潟大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.957 - P.961

文献概要

 【抄録】今回我々は,クロナゼパムによって遷延していたうつ病相から躁転したと考えられる双極感情障害の1例を経験した。この40歳の女性例は,種々の抗うつ薬を十分量,投与したにもかかわらず,うつ病相が2年以上遷延し,強い不安・焦燥感,背中のザワザワ感,restless legs syndrome様の症状を訴えていた。これに対しクロナゼパム5mg/日を投与したところ,速やかにうつ状態が改善し,さらにその2か月後に躁転した。クロナゼパムを4mg/日に減量し,炭酸リチウムを投与することで躁状態は軽快した。クロナゼパムの抗うつ効果に関する研究報告はこれまで数編あるが,このような躁転例についての報告はない。クロナゼパムは抗うつ薬抵抗性うつ病に対して試みる価値のある薬剤であるが,その際には躁転の可能性も考慮すべきことが本例によって示された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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