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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻9号

1996年09月発行

文献概要

研究と報告

ACE阻害薬と非ステロイド性抗炎症薬併用時に出現したリチウム中毒の1例

著者: 矢島英雄1 遠藤五郎1 福田和夫1 三田俊夫2 八重樫泰子3 浪岡宏3 戸田忠夫4

所属機関: 1岩手県立北陽病院 2岩手医科大学医学部神経精神科講座 3岩手県立一戸病院内科 4岩手県立一戸病院泌尿器科

ページ範囲:P.963 - P.969

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 【抄録】脳梗塞,高血圧,腰痛症の治療経過中に躁状態を呈したため炭酸リチウム600mg/日を投与したところ,持続する眠気,胃部不快感,嘔気,脱力,失調性歩行,構音障害,両上下肢の振戦,しびれ感などの身体症状を呈し,また血中リチウム濃度が1.84mEq/l(投与中止時の時点では,さらに高濃度と推定される)と高濃度を示し,さらに経過中,腎機能障害を合併した51歳の男性例を経験した。この身体症状はリチウム中毒によるものと考えられた。また,リチウム投与量が平均的な投与量でありながら,血中リチウム濃度が高濃度を示した原因として,併用薬剤である降圧薬のACE阻害薬と非ステロイド性抗炎症薬の関与が推定され,さらにループ利尿薬の関与の可能性も否定できなかった。筆者らが知るかぎりにおいては,本邦ではACE阻害薬が関与したと推定されたリチウム中毒の報告がないため若干の文献的考察を加えて報告した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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