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文献詳細

雑誌文献

精神医学38巻9号

1996年09月発行

文献概要

研究と報告

遷延した錐体外路症状にthyrotropin releasing hormone(酒石酸プロチレリン)が著効した悪性症候群の1例

著者: 中西重裕1 赤埴豊1 切池信夫2 小宮山雅樹3 吉野祥一1 福島淳1 本多直弘1 山上榮2

所属機関: 1大阪市立総合医療センター精神神経科 2大阪市立大学医学部神経精神医学教室 3大阪市立総合医療センター脳神経外科

ページ範囲:P.971 - P.974

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 【抄録】悪性症候群は向精神薬の重篤な副作用の1つで,ドーパミンニューロンの遮断がその一因と考えられている。今回我々は頭部外傷術後の通過症候群と考えられる不穏状態に,向精神薬の投与により悪性症候群を生じ,向精神薬の中止と全身管理により解熱し,血中CPK値の正常化の後も,振戦,筋固縮,開口障害などの錐体外路症状が遷延し,これらの症状にthyrotropin releasing hormone(TRH)が著効した極めて稀な症例を経験した。TRHは側坐核や線条体のドーパミンニューロンに作用し前シナプスからのドーパミン遊離を促進すると言われており,これらの作用が遷延した錐体外路症状を改善させたものと考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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