文献詳細
紹介
精神科領域におけるインフォームド・コンセント—現状と課題
著者: 高柳功1 江畑敬介2 亀井啓輔3 加藤伸勝4 川瀬典夫5 吉川肇子6 白井泰子7 高木俊介8 丸山英二9 八木剛平10
所属機関: 1有沢橋病院 2東京都立松沢病院 3大内病院 4稲城台病院 5社団法入双里会川瀬クリニック 6筑波大学社会工学系 7国立精神・神経センター精神保健研究所 8京都大学医学部精神神経科 9神戸大学法学部 10慶応義塾大学医学部精神神経科
ページ範囲:P.997 - P.1005
文献概要
「インフォームド・コンセント」という用語は,今日,医療界ではごくありふれた日常用語となった観さえあり,あまりにも濫用されすぎて,概念が肥大化しすぎているという指摘さえある。しかし,「インフォームド・コンセントはもともと医療の中核をなすべきもの1)」とのとらえ方は,やはり正しいと言うべきであろう。これからの医療行為にはすべて,インフォームド・コンセントという問題意識がなければならないし,それは精神科医療でも例外ではない。
周知のごとく,1991年12月,国連総会が「精神病者の擁護及びメンタルヘルスケア改善のための原則」を可決し,精神科医療の重要な原則の1つとしてインフォームド・コンセントを位置づけた。このような状況を受けて,我が国では1990年から厚生科学研究・精神保健医療研究事業の一部としてインフォームド・コンセントの組織的研究が始まったのである。
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