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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

Five Minute Speech Sample(FMSS)によって評価された家族の感情表出(EE)の特徴および再発との関連性—精神分裂病についての検討

著者: 上原徹1 横山知行1 後藤雅博2 幸村尚史3 中野靖子1 豊岡和彦4 飯田眞1

所属機関: 1新潟大学医学部精神医学教室 2新潟県精神保健福祉センター 3田宮病院 4国立療養所犀潟病院

ページ範囲:P.31 - P.37

 【抄録】簡便に施行可能なEE評価法であるFive Minute Speech Sample(FMSS)を用いて,分裂病外来患者40名の9か月間の再発とEEとの関連を検討した。EEの分布ではhigh-EE例が9名(全症例中22.5%)で,その内訳は批判(Critical)4名(10.0%),過度の感情的巻き込まれ(EOI)5名(12.5%)であった。転帰とEEとの関連では,high-EEの割合は再発群40.0%,非再発群12.0%で有意差は認めなかったが,境界線級(b-)のEEまでをhigh-EEに含めた場合,5%水準で非再発群(20.0%)に比し再発群(60.0%)にhigh-EEと判定される症例が有意に多かった。EE下位評価と再発率との関連では,純粋なlow-EE(19.4%),b-EOI(50.0%),EOI(60.0%),Critical(75.0%),b-Critical(100%)であり,純粋なlow-EE群と他群との間で再発率に1%水準で有意差が認められた。判別分析の結果,批判尺度が弱いながら再発と相関する傾向を示した。FMSSは広く臨床に適用可能であるが,b-EEをhigh-EEに含める見方が必要である。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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