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研究と報告
心的エネルギーの計量化についての1つの試み
著者: 臺弘1
所属機関: 1坂本医院
ページ範囲:P.39 - P.45
文献購入ページに移動 【抄録】古い歴史を持つ心的エネルギー概念には,文献的には,精神分裂病についての論議が主であった。我が国の精神医学では,この言葉はこれまですべて常識心理的な意味で使われていて,深い吟味は稀であった。この概念を吟味し,検証に耐える生産的なものとするには,計量化の試みが必要である。分裂病に関する心的エネルギー論議を,歴史的考察の後に,コンラート,安永浩の見解について解説した後に,筆者らの研究「慢性分裂病の機能的亜型分類」に用いられた単純反応時間DSTと血圧測定時の心拍変動PRDの2指標をもって表す抽象空間が,「心的エネルギー」の近似となりうる可能性について論じた。この研究結果から,(DST・PRD)空間は心的自由エネルギーの近似であり,分裂病的状態でそれは減少することが示された。これは発見的推論の1例である。
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