短報
MRI,99mTc-HMPAO SPECTで左後頭葉の萎縮および局所脳血流低下を認めたCharles Bonnet症候群の1例
著者:
岸敏郎13
木谷光博2
長沼六一3
藤本晶彦3
所属機関:
1島根医科大学精神医学教室
2益田赤十字病院神経内科
3松ケ丘病院
ページ範囲:P.77 - P.80
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Charles Bonnet症候群の概念は,視覚障害下に単一症状として幻視が生じうることを,広く臨床家に知らしめた点で意義深い。一方で,この中にいくつかの異なる病態が含まれている可能性が考えられ1,3),症例ごとに詳しい鑑別診断を行い,幻視の成因を明らかにする必要がある。今回筆者らは,MRI,99mTc-HMPAO SPECTで左後頭葉の萎縮および局所脳血流低下を認めたCharlesBonnet症候群の1例を経験した。このように本症候群で幻視に関連した脳局所病変の有無について,特に脳血流シンチを用いて検討した症例は少なく,またその所見が興味深く思われたので,上記の観点から考察を加え報告する。
病識を伴う本症候群の視覚体験を幻覚,偽幻覚8)のいずれに分類すべきか,明確な区別は困難であるが,ここでは他の報告にならって幻視と表記する。