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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻1号

1997年01月発行

短報

転落事故を契機に生じた全生活史健忘の1例

著者: 藤崎慎一1 朝田隆2 飯田栄子3 假屋哲彦4

所属機関: 1医療法人南山会峡西病院 2国立精神・神経センター武蔵病院 3山梨厚生病院 4山梨医科大学精神科神経科

ページ範囲:P.93 - P.95

文献概要

 健忘を主症状とする状態の1つに全生活史健忘がある。これは社会的知識など一般的知識は保たれているにもかかわらず,自己の生活史をまったく覚えていない状態をいう。つまり日常生活は普通に行えるが,自分の姓名,生年月日,家族関係を含めた生活史を思い出せない。一般に心因性の健忘として位置づけられるが,数少ないものの頭部外傷やてんかんなど器質因の関与が否定しえない例もある2,4)。発症の直接因は必ずしも特定できないことが多く,むしろ準備因としての慢性の持続葛藤状況の存在が重要とされる。典型的には遁走を呈した後,健忘症状が顕在化するが,比較的類似した臨床経過をとって改善する5)
 我々は頭部打撲を契機に発症し,本症の発現に重要とされる準備因としての葛藤状況の確認が困難であった全生活史健忘の1例を経験したので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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