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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻10号

1997年10月発行

文献概要

研究と報告

少年殺害を反復したKlinefelter症候群の1例

著者: 風祭元1 五十嵐禎人1 林直樹1 中谷陽二2 入谷修司1 金子嗣郎1

所属機関: 1東京都立松沢病院精神科 2東京都精神医学総合研究所社会病理部門

ページ範囲:P.1045 - P.1052

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 【抄録】生涯に2回の少年殺害,1回の少年殺害未遂を繰り返したKlinefelter症候群の1例を報告した。IQは53〜77と軽度の精神発達遅滞があり,性格特性としては「粘着性,爆発性,嗜虐性」,「未熟,依存的・受動的,甘えと僻みが強い」,「未熟・未分化,小児的,依存的,自己統御不良」などと表現される性格の病的偏倚があったと考えられた。いずれの犯行も動機が薄弱で,衝動的な情動行為であった。こうした衝動性には本症例の知能,性格特性が関与していると考えられ,その背景には性染色体異常が一定の寄与をしていると推測された。3回目の犯行は刑務所出所直後に行われており,精神障害犯罪者の更生援助システムに問題があったと思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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