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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻10号

1997年10月発行

文献概要

研究と報告

肥満外科手術の精神医学的適応について—抑うつ状態を呈した肥満症例からの検討

著者: 児玉和宏1 村上敦浩1 武田直己1 野田慎吾1 吾妻ゆかり1 山内直人1 岡田真一1 北林香織1 佐藤甫夫1 宮沢幸正2 川村功3

所属機関: 1千葉大学医学部精神医学教室 2千葉大学医学部第二外科 3栃木厚生連マロニエ・メディカル・センター下都賀総合病院

ページ範囲:P.1069 - P.1076

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 【抄録】肥満外科手術後に抑うつ状態を呈した2例を報告し,精神医学的に肥満外科手術の適応について検討した。2例において次のような共通点が認められた。小児期から肥満で,身体心像の障害があった。DSM-Ⅲ-R診断は,大うつ病または特定不能のうつ病性障害と社会恐怖であり,人格障害の診断もついた。術前の社会適応は良好でなく,binge eatingも認められた。抑うつを呈した時の状況因は,ともに職場不適応であった。肥満であることの疾病利得(対人恐怖的心性の合理化など)も認められた。以上のような特徴が認められた場合には,肥満外科手術の適応について慎重に検討するほうが良いと考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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