文献詳細
研究と報告
大うつ病性障害における抗うつ薬治療抵抗化因子
著者: 山本由起子1 五十川浩一1 穐吉條太郎1 葛城里美1 河野佳子1 古田真理子1 藤井薫1
所属機関: 1大分医科大学精神神経医学教室
ページ範囲:P.1083 - P.1087
文献概要
対象患者84例のうち抗うつ薬治療抵抗性を示したものは15例(18%)であった。抗うつ薬治療抵抗群は抗うつ薬治療反応群と比べて第一度親族内の気分障害の家族歴が有意に多かった。うつ病相の既往のある症例において,過去のうつ病相の期間の和は抵抗群が有意に長かった。性別,初発時年齢,入院時年齢,過去のうつ病相の有無,AXIS-ⅡおよびAXIS-Ⅲの診断の有無,今回のエピソード発症から入院までの日数,入院時17項目ハミルトンうつ病評価尺度得点,教育年数について両群間に有意差はなかった。
これらの結果は,気分障害の家族歴や過去のうつ病相の期間の和が長いことが抗うつ薬治療抵抗化の因子となりうる可能性を示唆している。
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