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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

精神分裂病様症状と神経症的症状を呈しクモ膜嚢胞の存在した2症例

著者: 東和也1 藤永拓朗2 一ノ渡尚道3

所属機関: 1自衛隊福岡病院精神科 2福間病院 3防衛医科大学校精神医学教室

ページ範囲:P.1097 - P.1102

 【抄録】精神症状を示した患者で,左側頭部にクモ膜嚢胞を認めた2症例を経験した。症例1は22歳の男性で,被害関係妄想,昏迷状態,失神,胸部圧迫感などを,症例2は19歳の男性で,幻聴,被害注察妄想,カタトニー様症状,頭痛,胸部圧迫感,左手のしびれなどの症状を示し,被害妄想を中心とした精神分裂病様症状で発症,その後神経症的症状を呈する経過であった。単純に精神分裂病とクモ膜嚢胞の合併とも考えうるが,抗てんかん薬の効果や,心理検査での器質障害を示唆する所見もあり,クモ膜嚢胞が精神症状に影響を与えている可能性も考えられた。また,側頭辺縁構造の機能異常が,心理環境要因に反応しやすい脆弱性を生む可能性にも言及した。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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