短報
ビタミンB12が著効した長時間睡眠の1症例
著者:
井上幸紀1
切池信夫1
栗岡政典1
岩崎進一1
山上榮1
所属機関:
1大阪市立大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.1109 - P.1111
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1977年にMilesら4)が非24時間睡眠覚醒症候群(NON-24)を報告以来,睡眠覚醒リズムの障害が注目されるようになった。我が国においても1990年より,The International Classification of Sleep Disorders(ICSD)2)の診断基準に基づき睡眠覚醒リズム障害の多施設共同研究が行われ,睡眠相後退症候群(DSPS),NON-24,不規則型,長時間睡眠者などの報告がみられるようになった5,6,9)。長時間睡眠は睡眠時間帯の位相の異常がないため睡眠覚醒リズム障害とは異なるが,夜間平均9時間以上眠り,そのため朝の望ましい時間での起床が困難となり社会適応に支障を来すもの6)で,時に睡眠覚醒リズム障害の形をとり,ICSDでは睡眠障害の1つとして検討すべき課題とされている。今回我々は,全身倦怠感などを主訴とする正常睡眠の外来患者が1日15時間の長時間睡眠様症状を呈し,これにビタミンB12が著効した症例を経験したので若干の考察を加えて報告する。