研究と報告
児童期発症精神分裂病の頭部MRI所見—前駆期に強迫症状を有する群と有さない群との比較を中心に
著者:
飯田順三1
松村一矢2
青山富貴子3
井上眞4
岩坂英巳1
平尾文雄1
橋野健一5
田原宏一2
崎山忍6
木寺克樹1
松本寛史2
辻本博一7
川端洋子1
岸本年史1
所属機関:
1奈良県立医科大学精神医学教室
2医療法人鴻池会秋津鴻池病院
3財団法人信貴山病院
4医療法人和泉会和泉ヶ丘病院
5医療法人南風会下市病院
6医療法人桐葉会木島病院
7NTT奈良健康管理所
ページ範囲:P.1197 - P.1201
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【抄録】発症年齢が15歳以下で,DSM-IVにて精神分裂病と診断された患児のうち,頭部MRI検査が施行された22例を前駆期に強迫症状を有する群10例と強迫症状を有さない群12例に大別し,この両群の頭部MRI所見を線分法により比較検討した。この結果,(1)側脳室前角比を示すIndex Iと第3脳室比を示すIndex IIにおいて強迫(+)群は(-)群より有意に拡大していた。(2)PANSS症状評価との相関関係については,Index IとIndex IIにおいて総合精神病理との間に有意な正の相関がみられた。(3)年齢,発症年齢,前駆期間,罹病期間とMRI所見との間に有意な相関はみられなかった。(4)男児が女児よりも脳室拡大の傾向がみられたが有意差は認められなかった。