文献詳細
研究と報告
森田療法による対人恐怖の治癒過程—臨床認知心理学的見地からの解析
著者: 梅野一男1 玉井光2 田代信維1
所属機関: 1九州大学医学部神経精神医学教室 2産業医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.1209 - P.1216
文献概要
自助組織「生活の発見会」で森田理論を学習し,実生活場面で実践し,神経症を克服している社会恐怖(DSM-IV)と診断された80症例(男性40例,女性40例)を対象とした。
思春期から青年期に対人関係において,「所属と愛情の欲求」(45例)か「自我尊厳の欲求」(35例)の挫折を契機に発症していたが,8〜13年間悩んだのち,「生活の発見会」に入会していた。入会後,約5年で1段階高次の欲求レベルに到達し,他人に対する恐怖や恥は軽快するか,完治していた。また対人恐怖は認知的評定から意志決定への過程に問題があり,不安回避行動とマイナス欲求が,認知的評定に影響を与えていることが示唆された。
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