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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻12号

1997年12月発行

研究と報告

挿間性意識障害の反復と門脈大循環短絡血行路を伴った肝性脳症の1症例

著者: 関根篤1 舘岡正子1 湊浩一郎1 菱川泰夫2

所属機関: 1市立秋田総合病院精神科 2秋田大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.1281 - P.1285

文献概要

 【抄録】門脈系の短絡血行路が原因となって高アンモニア血症を合併し,1週間程度の持続を持つ一過性の意識障害のエピソードを反復して呈した肝脳疾患の1症例を経験した。この症例の病態は,Sherlockら(1984)が命名した肝性脳症(portal-systemic encephalopathy)に属するものと判断した。本症例では,意識障害に基づく見当識障害と異常行動が,軽度の痴呆によるものと誤診されて,治療がなされていた期間があった。軽度の意識障害を見逃さないためには,丹念な問診と行動観察を反復することが重要であると思われた。また,脳波検査は,この患者の意識状態をモニターするうえで非常に有用であった。症状の経過から肝脳疾患が疑われる場合には,躊躇せずに血中アンモニア値を測定することが必要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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