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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻12号

1997年12月発行

研究と報告

精神科外来における成人病とMRI上の脳障害の分析—第1報:患者群の内訳と成人病の頻度

著者: 苗村育郎1 菱川泰夫1 林雅人2

所属機関: 1秋田大学医学部精神科学教室 2平鹿総合病院

ページ範囲:P.1287 - P.1295

文献概要

 【抄録】本研究は今日の精神科における成人病と器質的脳障害の関係の全容を明らかにすることを目的とする。本稿はその前半であり,秋田県南部農村地帯の総合病院の精神科外来受診者を,症候学的に15群に分類するとともに,主要な成人病の分布を論じた。計2,657名の患者の内訳では,神経症群(N;17.1%),分裂病群(S:13.3%)とともに,アルコール群(AL;15.5%),痴呆群(DZ;10.9%),中高年の神経衰弱状態(AI;10.7%)の多さが目立った。後者の3群内では高血圧の頻度が高く,それぞれ46%,65%,49%であり,また不眠症群(I;5.2%)でも51%であった。高脂血症の頻度は,中高齢の女性の多い群で高く,DZ群,AI群,抑うつ群(D;4.2%)ではそれぞれ48%,67%,52%であった。AL過飲歴は,男性患者全体の40%,50歳以上では57%,痴呆男性では60%に認められた。また,軽度以上の痴呆と見なされた患者は全体の21%に達していた。以上の結果は,成人病に関連した脳器質症候群が精神科外来の大きな問題であることと共に,今後の痴呆予防のあり方を示唆するものと思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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