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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻12号

1997年12月発行

文献概要

研究と報告

Flumazenil投与により意識障害の改善と脳波変化が認められた急性薬物中毒の1例

著者: 神部佳子1 粥川裕平1

所属機関: 1名古屋大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.1311 - P.1316

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 【抄録】Flumazenil(FZ)はbenzodiazepine(BDZ)薬物中毒の治療に有効とされている。我々は,大量服薬により意識障害を呈した症例に対してFZを投与し意識障害の改善とともに,脳波上,低振幅のβ波からα波主体の背景活動に変化した症例を経験した。この変化は,FZのBDZレセプターへの選択的結合によると推定された。本症例では,三環系抗うつ薬(TCA)は中毒量に達していたが,中毒重症度指標とされている心電図におけるQRS間隔の延長は認められなかった。BDZとTCAの混合服薬患者に対するFZの投与は,けいれんを惹起する「危険」があり,禁忌とされてきた。本症例のように,てんかんやけいれんの既往がない場合,初期における大量投与を避け心電図所見を確認し,慎重に投与すれば「安全」であると判断され,それは最近の報告でも支持されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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