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選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の薬物相互作用について—SSRI時代の夜明け前に

著者: 下田和孝1 染矢俊幸2

所属機関: 1滋賀医科大学精神科 2滋賀医科大学保健管理センター

ページ範囲:P.1329 - P.1336

 感情障害をはじめとする精神疾患に対する新たな薬物治療の手段として,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI:図)が欧米では主流となりつつある。これは主にSSRIが三環系抗うつ薬ないしはモノアミン酸化酵素阻害薬に比較してコリン系・心血管系への副作用が少ないといった点が主な理由である。我が国でもparoxetine,sertraline,fluvoxamineといったSSRIの臨床治験が進行中であり,近い将来,臨床現場にお目見えするであろう。しかしながら,SSRIの使用経験の長い欧米では,SSRIと他の薬物との相互作用に関する知見が蓄積されており,「SSRI時代の夜明け前」にある我が国の精神科医はそういった情報を頭に入れておくことが必要である。
 薬物を代謝する主要臓器は肝臓であり,cytochrome P450(CYP)系をはじめとして,肝臓にはCYP系に属する各酵素,glucuronyltransferase,sulfotransferaseなどの薬物代謝酵素が存在する。しかし,薬物相互作用に関与するとされる酵素のほとんどがCYP系に属することから,薬物相互作用の発現にCYP系が重要であることがわかる。本稿ではCYP系に関する基礎知識,SSRIのCYP系酵素の活性への影響を概説した後,日常の精神科臨床でSSRIと併用される可能性の高い薬物との相互作用について紹介してみたい。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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