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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻2号

1997年02月発行

文献概要

研究と報告

うつ状態を疑われ精神科通院をしていたACTH単独欠損症の1例

著者: 入江幸子13 小倉しおり1 樋山光教2 伊藤博明3 安井正1 小田豊1 山内惟光1

所属機関: 1桜ヶ丘記念病院 2横浜市民病院精神科 3北里大学東病院神経内科

ページ範囲:P.167 - P.171

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 【抄録】起立性低血圧,食思不振,不快気分,体重減少で発症したが,一般および消化器内科的異常が検出されなかったため,うつ状態を疑われ精神科通院をしていたACTH単独欠損症の中年男性例を経験した。自発性の低下,不快気分,食欲低下が前景で,うつ気分はなく,抗うつ剤と抗不安剤は無効であった。食物に対する嗅覚過敏のため摂食困難となり入院したところ,軽度の意識障害と低血糖,低Na血症,脳波異常がみられた。内分泌検査にてACTH単独欠損症と診断され,グルココルチコイド補充療法が著効した。慢性の情意障害に全身倦怠感,食思不振,低血圧,体重減少などを伴う場合,ACTH・コルチゾルを含む内分泌検査を行うことが重要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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