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日本精神病理学会第19回大会
著者: 花村誠一1
所属機関: 1東京医科歯科大学神経精神医学教室
ページ範囲:P.220 - P.221
文献購入ページに移動会長講演にひき続き大ホールで行われたシンポジウムは,「精神病理学の可能性」を謳い,生物学的研究,計量精神医学,治療論的観点,社会精神医学という4つの局面とのインターフェースを試みるというものである。丹羽真一氏は「認知科学からみた分裂病の症状論」と題し,遺伝子・物質レベル—脳機能レベル—症状レベルという階層の非線型性,陽性症状と陰性症状の思弁的二分法に代わる三症候群仮説など,最新の話題にふれた。林直樹氏らは分裂病者の「病識の成り立ちと病に対する構え」について,独自に開発した患者役割受容(いわば「障害受容」)スケールを駆使しつつ,周到な計量精神医学的アプローチを試み,その成果の一端にふれた。丹羽氏はメタ表象機能に関する「心の理論(theory of mind)」仮説に拡げることで,林氏らは当該の評価が経過予後論や治療的介入に役立つと強調することで,それぞれ立派に精神病理学への架橋を成し遂げたように思う。
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