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雑誌目次

雑誌文献

精神医学39巻3号

1997年03月発行

雑誌目次

巻頭言

東西交感

著者: 藍澤鎮雄

ページ範囲:P.228 - P.229

 すでに旧聞に属するが,イギリスの女流ジャーナリスト,ヴィッキー・マッケンジーの『チベット奇跡の転生』という不思議な本を読んだことがある。中国のチベット侵攻で,ダライ・ラマをはじめとして多くのラマたちが国外に亡命したが,その一人ラマ・イエシがなんとスペイン生まれの碧眼の幼児オセルに転生するというショッキングなドキュメンタリーである。チベット仏教は何も東洋的な形にとらわれず,西欧は西欧なりの仏陀を産めばよい,という生前のラマ・イエシの信念を象徴するような転生であるが,興味深かったのは,ラマ・イエシが創設した瞑想センターが欧米へ広がっていく経緯である。ラマ・イエシが最初の瞑想センターを開いたのはカトマンズ郊外のコパン僧院で,まず集まってきたのは放浪,ドラッグ,自殺未遂などの前歴を持つヒッピーたちであった。修行コース(ラム・リム)は30日間,朝4時半起床で,途中に粗末な食事とティー・タイム,チベット仏教の授業やグループ討論を挟みながら,夜9時の就寝まで瞑想テントにこもる。集中内観より徹底している。
 このカトマンズから実生活に戻ったヒッピーたちが欧米各地に次々と瞑想センターを建設していき,ラマ・イエシの死後5年目ですでに50か所に達した。常住のチベット・ラマの指導の下に長期コースや短期の黙想訓練のメニューが用意されており,人々は仕事を終えて,あるいは週末にセンターを訪れる。マッケンジー女史もカトマンズ以来,暇をみつけてはロンドン郊外の瞑想センターへ出掛け,日常生活にもチベット仏教哲学を取り入れている。このへんは日常内観に似ている。

展望

Dynamic Psychiatry—アメリカの現状

著者: 中久喜雅文

ページ範囲:P.230 - P.243

■Dynamic Psychiatryの意義と応用
 精神医学の“Remedicalization”,生物学的精神医学の発達などにより,一見アメリカの精神医学は,生物学的精神医学の様相を呈しているようにみえる。しかしそれはBio-Psycho-Socialという大きな枠組みの中で統合されつつあり,良識のある,有能な精神科医たちは,精神医療における力動的概念の重要性を強調している35)。多数の社会的,文化的価値観が共存し,また激しく揺れ動くアメリカの社会では,力動的なオリエンテーションで患者を治療しないと,臨床活動を続けてゆけない。
 Dynamic,またはPsychodynamic psychiatryは,従来のアメリカ精神医学の特徴であるとみなされてきた。その古典的な理論によると,患者の精神病理,行動異常は,患者個人の精神内界の「力動的な無意識」のこころのプロセスの結果起こるものであると理解し,その理解に基づいて治療が進められる。例えば無意識の欲望,感情,思考に対する自我の防衛,さらに人間の良心ともいうべき超自我の関与など,患者の意識的,無意識的なこころの相互交流によって症状が形成されるとする。

研究と報告

残遺型精神分裂病者の行動待機時間

著者: 森千鶴 ,   平正文 ,   熊倉耕次 ,   佐々木日出男

ページ範囲:P.245 - P.250

 【抄録】残遺型精神分裂病者の時間認知の偏奇については様々な研究がなされている。本研究では,時間認知の偏奇が日常の生活行動にどのように影響を及ぼしているかを明らかにし,さらに援助方法について再考することを目的とした。対象は残遺型精神分裂病者20名,陽性症状のある精神分裂病者20名,アルコール依存症者10名,精神分裂病者以外の長期入院患者7名である。全対象者の24時間の行動を連続した2週間観察し,行動時間を1日の中で累計し,それを対象者ごとに平均し,分析した。その結果,残遺型精神分裂病者は1日の行動の中で行動前待機時間が長いことが明らかになった。この行動前待機時間が長いという結果は,時間認知が偏奇していることも影響していると考えられた。今後,精神分裂病者の生活指導を行う際には,患者をせかせるのではなく,ゆとりを持ち,選択の幅を設けるような方法を考案する必要性が示唆された。

ジストニーに伴う一過性の幻覚を頻回に生じた精神分裂病の2例—抗精神病薬の副作用として,幻覚が生じる可能性について

著者: 行正徹 ,   寺尾岳 ,   白土俊明 ,   高橋法人

ページ範囲:P.251 - P.256

 【抄録】抗精神病薬投与中にジストニーとそれに付随して一過性の幻覚が頻回に生じた精神分裂病の2症例を報告する。症例1は23歳の男性でbromperidol 9mg投与中に眼球上転発作とそれに引き続いて音楽性幻聴を経験した。症例2は19歳の男性でbromperidol 21mg投与中に頸部から後頭部にかけてのジストニー,頭重感や目のつり上がってくる感じを覚え,次に不安感が生じ,〈そわそわ〉という字が見える幻視が生じるという一連の症状を経験した。音楽性幻聴が生じることもあった。いずれの症例においてもbromperidolを減量ないしは中止することによりすべての症状が消失した。ジストニーに近接して生じる幻覚は,抗精神病薬の副作用である可能性が示唆された。

左尾状核頭部出血後に記憶障害と日中の眠気を呈した1症例—「臨床症状と画像所見の関連」と「薬物療法の有効性」について

著者: 原田誠一 ,   堤晴彦 ,   亀山知道

ページ範囲:P.257 - P.263

 【抄録】症例は19歳女性。15歳の時に,脳室内穿破を伴う特発性左尾状核頭部出血が生じ,意識回復後に「無月経,食欲亢進,日中の眠気,記憶障害,自発性の低下」を呈した。このうち,無月経と食欲亢進は発症後2年以内に自然に消退したが,日中の眠気と記憶障害はその後も存続した。この2症状に対して薬物療法を行ったところ,日中の眠気に対してはmethylphenidateが,記憶障害に対してはaniracetamが有効であった。本症例が呈した症状は,①尾状核頭部の損傷と,②出血が第三脳室に穿破したことに伴う間脳の機能障害により生じたと思われる。脳の器質障害が背景にある記憶障害に対して,薬物療法(aniracetam)が有効であったことは興味深い。

多彩な精神症状を呈したBartter症候群の1例

著者: 青木勉 ,   宮内義浩 ,   大津正典

ページ範囲:P.265 - P.270

 【抄録】摂食障害,境界型人格障害様の症状や知能の低下を呈し,テタニーやけいれん,腎に非可逆的な器質性病変が認められたBartter症候群(Bartter症候群の1亜型と考えられるGitelman症候群)の症状精神病と考えられる1例を報告した。Bartter症候群に摂食障害が合併することにより,内分泌・電解質異常・低栄養が増悪し,認知障害や境界型人格障害様の症状を呈した可能性があると考えられた。摂食障害に,電解質異常が合併する頻度は決して少なくないと言われているが,摂食障害を合併した境界型人格障害の診断に当たっては,代謝性因子が精神症状に影響している可能性を考え,身体疾患の検索を含め慎重な対応が必要であると考えられた。

てんかん患者における遁走状態—4症例の検討

著者: 兼本浩祐 ,   川崎淳

ページ範囲:P.271 - P.276

 【抄録】遁走状態を呈したてんかん例を4例提示した。症例1と2は側頭葉てんかん由来の複雑部分発作群発後のもうろう状態が,症例3は発作前後の精神病状態が,症例4はうつ状態がそれぞれ遁走の直接的な引き金となっていたと考えられた。てんかんにおける遁走状態の従来の報告とこれらの症例を比較し,てんかん症例における遁走状態はいくつかの異なった発現機序のもとに引き起こされているのではないかという考えを述べた。

メラトニンを指標としたアルツハイマー病患者の生体リズムの検討

著者: 岡本典雄 ,   内田勝久 ,   大橋裕 ,   森田之大

ページ範囲:P.277 - P.284

 【抄録】メラトニンを内因性の生体リズムの指標としてアルツハイマー病患者の生体リズムの異常と臨床症状について検討した。対照群には全例にメラトニンリズムが認められたが,痴呆群8例中の3例ではリズムが消失していた。リズムを認めた痴呆群のメラトニンリズムは,対照群と比較して日中のメラトニンの値が有意に高かったが,最高値には差が認められなかった。メラトニンリズムのこれらの変化には,生活環境における光条件や生体時計中枢の器質的変化の影響が考えられ,睡眠障害やせん妄などの臨床症状との関連が推察された。また,メラトニンリズムが消失していた3例のうち,1例には睡眠障害,せん妄などの臨床症状が持続的に認められたが,2例には散発的に観察されただけであった。このことより,メラトニンリズムの消失がただちに臨床症状に結びつくものではなく,臨床症状の発現には同調因子の影響や痴呆の程度も重要な要因になっていると考えられた。

うつ状態を呈する地域在宅高齢者の身体状況について

著者: 村岡義明 ,   井原一成 ,   生地新 ,   灘岡壽英 ,   十束支朗

ページ範囲:P.285 - P.290

 【抄録】山形県長井市在住の65歳以上の高齢者に対して,自己評価式抑うつ尺度であるGDSと構造化診断面接法であるSCIDを用いたうつ状態の評価を行った。我々は,GDSが6点以上で臨床的なうつ状態と診断された38名(うつ状態群)とGDSが5点以下で臨床的にもうつ状態でないと診断された107名(対照群)の2群について,身体症状,身体疾患,聴力,視力,会話の能力,ADLなどの身体的問題について比較検討した。
 その結果,うつ状態群は対照群に比べ,しびれや痛みがある者,脳卒中の既往のある者,ADLの各能力に介助を必要とする者の比率が有意に高く,胃腸疾患のある者,聴力,視力の低い者の比率が高い傾向がみられた。

慢性活動性肝炎に対するインターフェロン療法に伴ううつ状態への抗うつ薬治療—塩酸トラゾドンの臨床効果を通して

著者: 細田真司 ,   滝村浩 ,   柴山雅俊 ,   金村元 ,   鯉田勲 ,   池田健次 ,   熊田博光

ページ範囲:P.291 - P.299

 【抄録】慢性活動性肝炎に対するインターフェロン(IFN)療法に伴いうつ状態を呈した19例(男性12例,女性7例)に塩酸トラゾドンを投与しその背景因子,臨床効果を調査した。塩酸トラゾドン治療開始前のハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)の平均得点が20.5(±5.4)であった。抑うつ気分とともに激越,精神的不安,身体についての不安を伴いやすかった。塩酸トラゾドン投与により,HAM-D得点が50%改善したものが19例中16例(84.2%)であり,平均得点5.6(±6.3)に改善した。塩酸トラゾドンは精神症状および慢性肝炎を悪化させることはなく,抑うつ気分とともに不安焦燥に対して有効であった。
 IFNに伴ううつ状態はIFNの終了・中止のみでは改善しない症例があることを示した。また抗うつ薬を投与しIFN療法を継続した10例はうつ状態を軽減でき,IFN治療を終了できた。IFN治療に伴いうつ状態を呈した場合,支持的なかかわりとともに抗うつ薬の投与を積極的に行う必要がある。

短報

パニック障害患者のQuality of Life—予備的調査から

著者: 竹内龍雄 ,   日野俊明 ,   林竜介 ,   池田政俊 ,   長谷川雅彦 ,   花澤寿 ,   冨山學人 ,   町澤理子

ページ範囲:P.301 - P.303

 パニック障害(以下PD)は寛解増悪を繰り返しつつ慢性に経過するものが多く,治療には疾患が患者のQuality of Life(以下QOL)に及ぼす影響を考慮し,その向上を図ることが重要である。しかしこの分野に関する研究はまだ少ない。そこで我々は,予備的調査として,国立精研の町澤ら1,2)が最近開発した健常者ならびに心身症・神経症領域の患者を主たる対象とするQOL質問紙を用いて,PDの外来患者に実施し,まず本障害患者のQOLの全般的傾向を知ろうと試みた。

Flunitrazepamの投与により健忘を呈した1例

著者: 大山哲 ,   渡部三郎 ,   堀口淳

ページ範囲:P.304 - P.306

 ベンゾジアゼピン系の催眠剤の投与に基づき,一過性の健忘を呈したとする症例の報告がtriazolamを中心に散見される1〜3)。筆者らもtriazolamの服用に起因して前向性健忘を呈した症例について既報2)で論じたが,今回筆者らは,flunitrazepamの投与が原因で健忘を来した症例を経験した。flunitrazepamの投与で健忘が発現したとする報告は,諸外国での報告を含めて,未だに極めて少ない4〜8)。そのため,本症例は貴重な症例と考え,若干の考察を含めて報告する。

S状結腸癌の転移性肝癌に対する動注化学療法中に生じたリチウム中毒の1例

著者: 竹井裕実子 ,   勝元栄一 ,   黒田陽子 ,   切池信夫 ,   山上榮

ページ範囲:P.307 - P.309

 血清リチウム濃度を上げる薬剤としては,チアジド系利尿剤(chlorothiazide,bendroflumethiazide),ベンゼンスルホンアミド剤(bumetanide,furosemide,chlortalidone),抗アルドステロン剤(spironolactone,triamterene)などのナトリウムの再吸収を阻害する利尿剤やprostaglandin合成阻害作用の強い抗炎症剤や腎毒性の知られた抗生剤(tetracycline,specinomycin,amphotericin B)などが知られているが9),抗癌剤の併用では,CDDP(シスプラチン)を用いた癌化学療法中にリチウム中毒を生じた症例2)について報告されているのみである。今回,我々はS状結腸癌の転移性肝癌に対する皮下埋め込み式リザーバー使用による5-fluorouracil(5-FU),mitomycin C(MMC)動注化学療法中にリチウム中毒を起こした症例を経験したので,若干の考察を加えて報告する。

シスプラチン投与後に部分発作が頻発し,抗てんかん薬が有効であった症例

著者: 布施泰子 ,   永雄裕美子 ,   諏訪克行

ページ範囲:P.311 - P.313

 シスプラチンは,プラチナの錯体で,婦人科領域,泌尿器科領域をはじめとして使用頻度の高い抗癌剤の1つである。副作用としての中枢神経系の障害はまれであるとはいえ,臨床上無視できない重要性を持つと考えられる。筆者らは最近,シスプラチン投与後に部分発作が頻発した例を経験し,経過の一部を報告した3)。この症例については,臨床発作と脳波所見との関係,カルバマゼピンとジアゼパム投与が著効したことなど,さらに考察すべき点があるので,あらためてここに報告する。

塩酸アマンタジンが著効した抑うつ状態を呈した進行性核上性麻痺の1臨床例

著者: 石川正憲 ,   佐々木恵美 ,   白石博康 ,   内藤徹

ページ範囲:P.315 - P.318

 進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy;PSP)は,筋固縮,寡動,眼球運動障害などの神経症状や痴呆を主症状とする変性疾患である9)。また,PSPではしばしば幻覚や妄想,精神運動興奮,抑うつ状態などの精神症状を呈することも報告されている1,2,5)。しかし,本症の精神神経症状には薬物療法が無効なことが多く7),特に精神症状が改善したという報告は極めてまれである。今回,我々は抑うつ状態,精神運動興奮,易刺激性,幻聴などの精神症状を呈し,塩酸アマンタジンがそれらに著効した1例を経験した。興味ある症例と思われるので,若干の考察を加え報告する。

精神症状を主症状としMRIにて前頭葉多発病変を呈した成人発症モヤモヤ病

著者: 朝比奈正人 ,   片山薫 ,   佐藤茂樹 ,   服部孝道

ページ範囲:P.319 - P.321

 モヤモヤ病の臨床症状は多彩であり,その症状発現型式は若年者では梗塞型,一過性脳虚血発作(TIA)型,てんかん型が多く,成人では出血型が多い7)。精神症状に関しては小児例で精神発達遅滞などを呈することがあるが,成人例で精神医学的に問題となる症状がみられることはまれである4)。我々は抑うつ状態,被害妄想などの精神症状で発症した成人発症モヤモヤ病を経験したので報告する。

資料

解離性障害の臨床的検討

著者: 大門一司 ,   野口俊文 ,   山田尚登

ページ範囲:P.323 - P.326

 ヒステリーは,患者自身は気づいていない動機(心因)によって引き起こされる精神障害である。これは,古代ギリシャ時代より存在し,その概念は時代と共に変化してきた。
 1980年,アメリカ精神医学会はDSM-Ⅲ診断基準1)において,ヒステリーが含む多義的な概念を各々独立した疾患単位として分割した。すなわちヒステリーは,身体表現性障害,解離性障害,虚偽性障害,他のどこにも分類されない精神病性障害,人格障害に大きくクラス分割され,さらにこれらのクラスはいくつかの病型に分類されている。

大学病院精神科に入院中の身体合併症患者

著者: 古塚大介 ,   栗岡政典 ,   小出誠司 ,   鍵本伸明 ,   大石聡 ,   勝元栄一 ,   尾崎宣洋 ,   切池信夫 ,   山上榮

ページ範囲:P.327 - P.331

■はじめに
 単科精神病院の病床数が多くを占める我が国の精神科医療においては,大学医学部附属病院の精神科も,地域精神科医療の中で総合病院精神科として,精神科治療中に身体疾患を併発し,専門的な検査や治療が必要となった患者,いわゆる身体合併症例の治療施設として期待される。
 我々の大阪市立大学医学部附属病院は1993年5月に総病床1,009の病院として建て替えられ,大阪市南部の医療拠点となっている。この新病院の精神科病棟は,旧病院と同じく40床と隔離のための個室2室という規模であるが,新たに医療用ガスを配管した個室4床を新設し,ハードの面において身体合併症例の治療設備を整え,1993年5月1日にオープンした。
 そこで今回我々は1993年5月1日の新病院の開設から1994年4月30日の1年間の精神科病棟の入院状況を調査し,当院での身体合併症例受け入れについての特徴,問題点を検討するとともに,地域精神科医療における身体合併症の診療の問題点を考察した。

私のカルテから

水中毒回復後にも微熱が続いた1症例

著者: 秋元勇治

ページ範囲:P.332 - P.333

 最近,水中毒と悪性症候群との関連性あるいは水中毒から悪性症候群に移行した症例についての報告が散見されるようになってきた4〜8)が,水中毒の発熱の特徴についての報告は見当たらない。
 筆者は,かつてより悪性症候群の特徴の1つとして,他の諸症状回復後も37℃前後の微熱が,数日から1か月前後続く現象に注目してきた1〜3)。そこで,水中毒回復後も22日間,37℃前後の微熱が続いた症例を報告する。このような症例は,水中毒と悪性症候群との関連,熱中症あるいは横紋筋融解症などの類似病態の異同を検討するうえで示唆的であると考え,ここに呈示した。

動き

「第37回日本児童青年精神医学会総会」印象記

著者: 阿部和彦 ,   白土俊明

ページ範囲:P.334 - P.335

 第37回日本児童青年精神医学会(会長:山形大学精神神経医学講座十束支朗教授)は1996年10月30日〜11月1日,山形市中央公民館と山形グランドホテルで開催され,会長講演,特別講演,シンポジウムのほか,一般演題120題,症例検討6題の発表が行われた。

「第6回日本臨床精神神経薬理学会」印象記

著者: 村崎光邦

ページ範囲:P.336 - P.336

 1996年11月14,15日の両日,南国沖縄県の宜野湾市の沖縄文化を如実に示す沖縄コンベンションセンターにおいて,琉球大学精神神経科学教室の小椋力教授会長のもとに第6回日本臨床精神神経薬理学会が開催された。本学会は日本神経精神薬理学会が基礎的研究を中心に展開されているのに対して,精神神経領域の臨床薬物治療の進歩・発展を図ることを目的に研究会として発足したものであるが,1994年の第4回大会より学会となっている。今回の第6回には一般演題64,1シンポジウム,会長講演,特別講演と,年ごとの発展はめざましく,参加者も206名(全会員数370名)に上っている。若い学会であるが,当初から1会場で各演題にたっぷり時間をとり,じっくり討論する方針で来ており,活発な論戦がみられ,その熱心さには驚嘆すべきものがある。
 私ども臨床家にとってはまことにうれしい学会で,ここに演題内容を紹介したい。

基本情報

精神医学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-126X

印刷版ISSN 0488-1281

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