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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻3号

1997年03月発行

展望

Dynamic Psychiatry—アメリカの現状

著者: 中久喜雅文12

所属機関: 1東京サイコセラピーセンター 2聖マリアンナ医科大学精神科

ページ範囲:P.230 - P.243

文献概要

■Dynamic Psychiatryの意義と応用
 精神医学の“Remedicalization”,生物学的精神医学の発達などにより,一見アメリカの精神医学は,生物学的精神医学の様相を呈しているようにみえる。しかしそれはBio-Psycho-Socialという大きな枠組みの中で統合されつつあり,良識のある,有能な精神科医たちは,精神医療における力動的概念の重要性を強調している35)。多数の社会的,文化的価値観が共存し,また激しく揺れ動くアメリカの社会では,力動的なオリエンテーションで患者を治療しないと,臨床活動を続けてゆけない。
 Dynamic,またはPsychodynamic psychiatryは,従来のアメリカ精神医学の特徴であるとみなされてきた。その古典的な理論によると,患者の精神病理,行動異常は,患者個人の精神内界の「力動的な無意識」のこころのプロセスの結果起こるものであると理解し,その理解に基づいて治療が進められる。例えば無意識の欲望,感情,思考に対する自我の防衛,さらに人間の良心ともいうべき超自我の関与など,患者の意識的,無意識的なこころの相互交流によって症状が形成されるとする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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