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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻3号

1997年03月発行

研究と報告

左尾状核頭部出血後に記憶障害と日中の眠気を呈した1症例—「臨床症状と画像所見の関連」と「薬物療法の有効性」について

著者: 原田誠一1 堤晴彦2 亀山知道1

所属機関: 1東京逓信病院精神科 2埼玉医科大学総合医療センター 3旧所属:東京都立墨東病院救命救急センター・脳外科

ページ範囲:P.257 - P.263

文献概要

 【抄録】症例は19歳女性。15歳の時に,脳室内穿破を伴う特発性左尾状核頭部出血が生じ,意識回復後に「無月経,食欲亢進,日中の眠気,記憶障害,自発性の低下」を呈した。このうち,無月経と食欲亢進は発症後2年以内に自然に消退したが,日中の眠気と記憶障害はその後も存続した。この2症状に対して薬物療法を行ったところ,日中の眠気に対してはmethylphenidateが,記憶障害に対してはaniracetamが有効であった。本症例が呈した症状は,①尾状核頭部の損傷と,②出血が第三脳室に穿破したことに伴う間脳の機能障害により生じたと思われる。脳の器質障害が背景にある記憶障害に対して,薬物療法(aniracetam)が有効であったことは興味深い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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