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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻3号

1997年03月発行

文献概要

研究と報告

メラトニンを指標としたアルツハイマー病患者の生体リズムの検討

著者: 岡本典雄1 内田勝久2 大橋裕3 森田之大2

所属機関: 1共立菊川総合病院精神科 2浜松医科大学生理学第一教室 3浜松医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.277 - P.284

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 【抄録】メラトニンを内因性の生体リズムの指標としてアルツハイマー病患者の生体リズムの異常と臨床症状について検討した。対照群には全例にメラトニンリズムが認められたが,痴呆群8例中の3例ではリズムが消失していた。リズムを認めた痴呆群のメラトニンリズムは,対照群と比較して日中のメラトニンの値が有意に高かったが,最高値には差が認められなかった。メラトニンリズムのこれらの変化には,生活環境における光条件や生体時計中枢の器質的変化の影響が考えられ,睡眠障害やせん妄などの臨床症状との関連が推察された。また,メラトニンリズムが消失していた3例のうち,1例には睡眠障害,せん妄などの臨床症状が持続的に認められたが,2例には散発的に観察されただけであった。このことより,メラトニンリズムの消失がただちに臨床症状に結びつくものではなく,臨床症状の発現には同調因子の影響や痴呆の程度も重要な要因になっていると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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