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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻3号

1997年03月発行

研究と報告

慢性活動性肝炎に対するインターフェロン療法に伴ううつ状態への抗うつ薬治療—塩酸トラゾドンの臨床効果を通して

著者: 細田真司1 滝村浩1 柴山雅俊1 金村元1 鯉田勲2 池田健次2 熊田博光2

所属機関: 1虎の門病院精神科 2虎の門病院消化器科

ページ範囲:P.291 - P.299

文献概要

 【抄録】慢性活動性肝炎に対するインターフェロン(IFN)療法に伴いうつ状態を呈した19例(男性12例,女性7例)に塩酸トラゾドンを投与しその背景因子,臨床効果を調査した。塩酸トラゾドン治療開始前のハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)の平均得点が20.5(±5.4)であった。抑うつ気分とともに激越,精神的不安,身体についての不安を伴いやすかった。塩酸トラゾドン投与により,HAM-D得点が50%改善したものが19例中16例(84.2%)であり,平均得点5.6(±6.3)に改善した。塩酸トラゾドンは精神症状および慢性肝炎を悪化させることはなく,抑うつ気分とともに不安焦燥に対して有効であった。
 IFNに伴ううつ状態はIFNの終了・中止のみでは改善しない症例があることを示した。また抗うつ薬を投与しIFN療法を継続した10例はうつ状態を軽減でき,IFN治療を終了できた。IFN治療に伴いうつ状態を呈した場合,支持的なかかわりとともに抗うつ薬の投与を積極的に行う必要がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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