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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻4号

1997年04月発行

研究と報告

放火を繰り返し系統的健忘を呈した1例

著者: 坂西信彦1 下地明友1 宮川太平1 平田耕一2 藤田英介2 三村孝一2

所属機関: 1熊本大学医学部神経精神医学教室 2信和会城ヶ崎病院

ページ範囲:P.381 - P.387

文献概要

 【抄録】姑に対する否定的感情から放火を繰り返し,その後系統的健忘を呈した症例を報告した。Ribotの法則を用い詐病との鑑別を論じた。意識障害期,無知受動期,記憶回復期を各々2回繰り返したが,おおむね山田の臨床経過分類に沿っていた。本邦の系統的健忘7報告例と比較検討したが,本例は慢性持続葛藤期間が17年間と長く,発症年齢が39歳と高く,喪失した記憶の範囲も17年間と最長であった。反社会的行為を伴ったものは本例のみであった。健忘の対象となった中心人物は姑と考えられた。17年間にわたる姑へのうっ積した否定的感情が放火という行動に至らしめたが満たされず,精神的他殺としての系統的健忘という別の形で表出したと考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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