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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻4号

1997年04月発行

研究と報告

カキ中毒により痴呆様症状を呈した1症例

著者: 下島圭三1 長友医継1 滝川守国1 有川和宏2 中原啓一3

所属機関: 1鹿児島大学医学部神経精神医学教室 2鹿児島大学救急部 3鹿児島大学第3内科

ページ範囲:P.423 - P.427

文献概要

 【抄録】患者は64歳女性,貝の生食後に食中毒を起こし,記銘力障害,見当識障害が後遺障害として残った。検査ではMRIのT2強調画像でのみ大脳白質がびまん性に高信号を示したが,それ以外に特異的な所見は認めなかった。神経精神医学的検査では振戦,能動性の低下,言語の渋滞が認められた。そこで大脳白質の脱髄様の障害を疑い高圧酸素療法を施行したところ臨床症状は劇的に改善し,画像上も著明に改善された。食中毒後に記銘力障害を残したという報告は,カナダのムール貝以外はほとんどみられないが,この報告ではドーモイ酸が原因物質とされた。提示した症例では原因物質は特定できなかったが,白質の炎症所見に対し高圧酸素療法は有用と思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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