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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻5号

1997年05月発行

文献概要

特集 学校精神保健—教育との連携の実際

学校保健の推進と精神科医—学校精神保健コンサルテーションの経験から

著者: 牧原寛之1

所属機関: 1牧原クリニック

ページ範囲:P.485 - P.491

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■はじめに
 学校精神保健における精神医学的な理解と実践の必要性は,つとに唱えられてきたところである。例えば日本児童精神医学会は,すでに1966年の第7回総会シンポジウムで「学校精神衛生」を取り上げている。さらに近年の不登校や摂食障害の児童生徒の急増は,学校保健に占める精神保健の重要性をますます高めている。このため同学会は1985年,第26回総会のシンポジウムのテーマに「学校精神保健における児童精神科医の役割」を選んでいる。第7回総会での試行的模索的な論議に比し,第26回総会では明らかにより緊急で現実的な問題として児童青年精神科医の経験と反省,問題提起がなされ5,6),また学校現場からの精神科医への危惧6)も表明されている。
 実際に我が国で学校現場に精神科医が直接かかわってきた記録・報告としては,1968年に開始された大阪大学精神科のグループによる特定の中学での活動がよく知られている12,13)。同グループは1972年に「思春期精神医学」を著し,その中で清水13)は実践方法と結果,さらには同グループの方式の功罪についてまで論じている。その後現在まで,全国各地で学校保健にかかわる精神科医は増加しつつあるが,それぞれの活動は地域ごとに大きく相違する。これは一方で,それぞれの地域による人的資源,歴史的背景,教育委員会を含む政治経済的状況など,様々な活動を規定する要因の違いが大きいことによる。しかし他方で,精神科医の学校精神保健へのかかわり方が,講演,研修会,教師個人や集団への指導,児童生徒や親との面接,様々な形でのコンサルテーションなど多彩なものであることによる5,11,16,17)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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