icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻5号

1997年05月発行

研究と報告

万能的な核を持つ境界例患者の精神病理—社会的枠組との関連から

著者: 津田均1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院分院神経科

ページ範囲:P.513 - P.520

文献概要

 【抄録】万能的,自己愛的な核を持つ境界例4例を取り上げ,その核の位置づけを,患者と社会的枠組との関係から論じた。患者には,枠や制限の設定を伴う役割構造が受け入れられていないことを示し,それと,ライバル関係の止揚がなされないことが関係していることを論じた。患者の万能的な核は,役割構造の制限を受けない親切心,ライバル関係を完全に超えて他人に認められるような能力,美質の主張であると考えられた。さらに一見役割構造の介在が存在しないように見える,愛,友情をめぐる二者関係においても,患者は,自分と他者を出口のない関係へと導き,安定した関係を築くことが困難なことを論じた。考察と関係する治療の留意点についても付言した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら