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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻5号

1997年05月発行

文献概要

研究と報告

攻撃性が早期に出現する抑うつ症例について—産業精神医学の経験から

著者: 小野博行1 内海健2

所属機関: 1東京大学医学部附属病院分院神経科 2帝京大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.521 - P.528

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 【抄録】今日,うつ病病像の現代的変容が注目されているが,我々は産業医としての臨床において,一群の特性を共有する抑うつ症例を見いだした。それは,若年成人の企業人で,内因性の症状を備えながらも,軽症にとどまり,出社の意志そのものは失われてはいないが,職場への忌避感や直属の上司への攻撃的感情が病相早期から出現し,他部署への異動を患者自身が強く望むというものである。4症例を呈示の上,両価的傾向の乏しい攻撃性が病相早期から出現する現象を最大の特徴ととらえ,疾病分類的に独自の位置を占める可能性を示唆し,基底的な病理構造として「しがみつきの希薄化」を抽出して,抑うつ病像が軽症にとどまるメカニズムの説明を試みた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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