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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻5号

1997年05月発行

「精神医学」への手紙

Letter—皮膚寄生虫妄想(Dermatozoenwahn)は妄想知覚か?/Answer—レターにお答えして—皮膚寄生虫妄想には,妄想知覚と考えられる症状も存在することがある

著者: 立山萬里1 林拓二2

所属機関: 1東京都立医療技術短期大学 2愛知医科大学精神科

ページ範囲:P.560 - P.561

文献概要

 初老期皮膚寄生虫妄想(präseniler Dermatozoenwahn)は,実際にはいないのに体(皮膚)に「虫が寄生している」と確信する単一症状性の妄想で,Ekbom1)によれば,①皮膚の異常知覚(?痒感やパレステジー)と②妄想性解釈から成り立っている。本例は,「虫」の標本として皮膚垢やゴミなどを集めて持参したり,「虫」と主張して図示したりする。このような視覚性の体験は,「皮膚寄生虫妄想」が強い時に,感情的に誘発された錯覚性誤認(Schneider, K)2)と解釈されるが,最近,林氏3)はこの体験を妄想知覚とみなしている。
 Ekbomは本例に「幻覚,被害・関係念慮などの分裂病性症状はすべて欠けている」と述べており,もし「皮膚寄生虫妄想」例に妄想知覚がみられれば,Schneider流にいえば分裂病になるわけで,この初老期の妄想症にそれを当てはめることには,慎重でなければならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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