文献詳細
研究と報告
摂食障害者における性格特徴—構成的文章完成法(K-SCT)を用いて
著者: 大曽根彰12
所属機関: 1東京女子医科大学精神医学教室 2現,牛久愛和総合病院心療内科
ページ範囲:P.617 - P.624
文献概要
摂食障害者群では健常対照群と比べ,性や愛情に対する否定感情が強く,これが性的同一性,自我同一性の障害の基本となっていると考えられる。また世間一般の人に対する否定感情が強い一方,世間からの攻撃に対しては積極的にこれを受け入れる特徴がある。ここには恐れを抱きつつも攻撃は受容するという形の一種のマゾヒズムがうかがえる。さらに,不安の原因を自己の表面的な要因に帰着させる傾向がある。すなわち,内向的ではあるものの,内省よりも具体的な身体レベルに問題を見いだす傾向がある。
K-SCTの結果から抽出された成熟や愛情の否定,社会の批判への迎合性,葛藤の身体レベルでの処理の傾向などの特徴は,重症化した摂食障害者の心性の基本的要素に当たることを指摘した。
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