文献詳細
研究と報告
文献概要
【抄録】東京家庭裁判所で扱った「夫婦関係調整事件」の相手方が精神分裂病と診断された73例について,配偶者によって病気として認知されているかどうかを申立書の分析から調べ,認知群50例,非認知群23例を取り出した。認知群と非認知群を比較検討したところ,配偶者が相手を病気だと認知しているとされるケースは,一方で受診につながっているが,他方で離婚につながりやすくなっていることが明らかとなった。申立てに先行した状態像と配偶者による病気としての認知の関連を調べたところ,従来の文章法による報告と異なって,妄想状態での認知率が36.4%と低く,また欠陥状態での認知率が80.0%となっていた。病気の認知に関連する認知する側の要因についても検討した。
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