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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻7号

1997年07月発行

文献概要

研究と報告

高齢期うつ病患者の99mTc-ECD SPECTによる非侵襲的局所脳血流量の測定

著者: 寺田倫1 宇野正威1 松田博史2 本橋伸高1 中野正剛2 高野晴成1 諸岡智行1 朝田隆1

所属機関: 1国立精神・神経センター武蔵病院精神科 2国立精神・神経センター武蔵病院放射線診療部

ページ範囲:P.735 - P.742

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 【抄録】高齢期うつ病患者11例と正常対照者10例を対象に99mTc-ECDSPECTを施行し,大脳平均血流量と局所脳血流量を測定した。患者は高齢期うつ病患者の症例の中でMRI上脳萎縮や潜在性脳梗塞を示さない症例を選択した。大脳平均血流量は,対照群(42.1ml/100g/分)に比べうつ病群(34.9ml/100g/分)で有意に低く,約20%の低下を示した。局所脳血流量は,右の半卵円中心と右小脳を除くすべての部位でうつ病群において有意に低下していた。すべての領域で右側に比べ左側の血流低下がみられ,特に前頭葉で顕著だった。
 高齢期うつ病患者の脳血流量の低下は,脳の機能的異常を反映していると示唆されたが,いずれ潜在性脳梗塞に至る脳循環障害の反映である可能性もあると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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